その日は教材をほとんど開けませんでした。冒頭のフリートークがそのまま続いて、気づいたら終わっていたからです。話題は在宅勤務。C先生はこの仕事を9年やっていて、ずっと家から教えているそうです。
私が言いたかったのは、たったこれだけです。ずっと家にいるのは自分には向いていない。人と直接会って話した方が、仕事も進む。日本語なら一息で言えます。ところが英語にしようとした瞬間、文が組み立てられませんでした。
あとで録音を聞き直すと、つまずいた箇所は3つありました。どれも難しい単語の問題ではありません。知っているはずの言葉を、違う形で使っていました。以下、言った通りに並べます。
①「家にずっといるのは向いていない」が文にならなかった
在宅勤務は好きかと聞かれて、答えようとした場面です。出てきたのはこれでした。
“Staying at home longer is not good for me because I’d like to meet with someone…”
C先生は頷いてくれましたが、あとで直してもらいました。ずれていたのは3か所です。
longerが浮いています。「ずっと」のつもりでしたが、比較級なので「より長く」になりますnot good for meだと、体に悪いという話に聞こえます。「自分に向いていない」は別の言い方をしますmeet with someoneは、誰かと約束して会うという意味です。人と交流したいという一般の話には使いません
直した形がこれです。
“Working from home all the time doesn’t really suit me. I prefer interacting with people face-to-face.”
2文に切れています。私は1文で言おうとして because でつなぎ、そこから崩れました。先に結論を置いて、ピリオドで一度止める。それだけで組み立てが楽になります。
② 前の職場の同僚を聞こうとして、質問が崩れた
C先生は以前コールセンターで働いていたと聞きました。それで、当時の同僚のことを聞こうとしました。
“Aren’t there someone for friend… your friend are not working in DMM?”
自分でも途中で言い直しているのが分かります。原因はこうでした。
- 否定疑問で始めてしまい、主語と動詞が最後まで決まらないまま口が動いていました
someone for friendは英語にない形ですyour friend areと、単数複数も合っていません
聞きたかったのはこうです。
“Do any of your former colleagues from the call center also teach on DMM?”
「〜のうち誰かいますか」は Do any of your ~ ...? という骨格が決まっています。「前の職場の同僚」は former colleagues。この2つを先に用意しておけば、崩れませんでした。
レッスンを録音して聞き直すと、自分の言い方の癖がよく見えます。ただ、ひとりで続けるのは大変です。毎日の音声を提出して添削が返ってくる形なら、仕組みとして続きます。
③「研修はあるんですか」が、別の意味になっていた
講師になるのに研修があるのかを知りたくて、こう聞きました。
“Did you receive the teaching or some kind of curriculum to work on DMM?”
通じはしましたが、2か所ずれています。
receive the teachingは「教えを受ける」。研修を受ける、という意味にはなりませんto work on DMMは「働くために」。聞きたかったのは「教えるために」でした
正しくはこうです。
“Did you have to undergo any formal training or follow a specific curriculum to teach here on DMM?”
研修を受けるは undergo training、または take a training program。ちなみに答えは「特別な資格は要らないが、研修はある」でした。
3つに共通していたこと
✕ Staying at home longer is not good for me
◯ Working from home all the time doesn’t really suit me
✕ Aren’t there someone for friend…
◯ Do any of your former colleagues from the call center also teach on DMM?
✕ Did you receive the teaching or some kind of curriculum…
◯ Did you have to undergo any formal training…
3つとも、単語を知らなかったわけではありません。1文に全部入れようとして、主語と動詞が最後まで決まらなかった。言葉を探しながら I I I... と助走をつけていたのも、同じ原因です。息を一度吸って、主語と動詞だけ決めてから口を開く。それだけで言い直しは減ります。
C先生の言い方で、盗みたかったもの
先生が何気なく使った言い方に、2つ引っかかりました。
“If I have time to spare, I sleep.”
have time to spare(時間に余裕がある)。私なら free time と言っていたところです。それから、在宅勤務の孤独を話すとき、先生は feel isolated を使いました。私は feel all alone と言っていました。意味は通じますが、isolated の方が大人の言い方です。
ちなみに先生の本音は、家で一人はやっぱり寂しい、同僚との飲み会やクリスマスパーティーが恋しい、でした。9年リモートで働いている人がそう言うので、だいぶ説得力がありました。
今日の6フレーズ
suit me— 自分に合っているinteract with people face-to-face— 対面で人と交流するformer colleagues— 前の職場の同僚undergo training— 研修を受けるhave time to spare— 時間に余裕があるfeel isolated— 孤立している感じがする
次のレッスンで試すこと
在宅勤務とオフィス勤務のどちらが好きか、と聞かれたら、3文で着地させます。
“Personally, I prefer working in the office, or at least having a hybrid schedule.”
“Because staying at home all day makes me feel isolated, and in-person communication makes teamwork much smoother.”
“In my company, being able to talk to colleagues directly helps us solve problems much faster.”
結論、理由、具体例。1文ずつピリオドで止めます。今回つまずいた3か所は、どれも1文に詰め込もうとした結果でした。次は切ります。
教材に入れなかったレッスンでしたが、在宅勤務の長所と短所、人と直接会って話すことの意味について、最後まで話し続けました。こういう日の方が、あとで録音を聞き返す価値があります。
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