少し前、ふと 「サンライズ瀬戸に乗ってみたい」 と思って予約サイトを覗いたら、3か月先までほぼ満席。慌てて窓口に電話したけど結局取れず、「こんなにマイナーだと思ってたのに、何でこんなに人気なの?」と少し驚いたんですよね。調べてみると 日本の定期夜行列車は、もうこれ1本しか残っていない と知ってさらに納得。今夜は、その「最後の1本」の話です。
夜行列車は英語で「night train」または「sleeper train」
英語で夜行列車はそのまま night train。ベッドで寝られる本格的なやつ(寝台列車)は sleeper train と区別すると伝わりやすいです。ヨーロッパでは 「Nightjet」(オーストリア国鉄)のように夜行が復権中で、海外の鉄道ファンには 「日本にも夜行ってまだあるの?」 と意外と聞かれる話題です。
“Japan only has one regular sleeper train left — it’s called Sunrise Seto/Izumo. It runs overnight from Tokyo to either Takamatsu or Izumo, about 12 hours.”
(日本に残っている定期夜行寝台はサンライズ瀬戸・出雲のたった1本。東京から高松か出雲まで、約12時間の夜の旅です。)
最盛期は30本以上——夜行列車のひっそりとした衰退
1958年、特急「あさかぜ」 がブルートレイン(青い客車の寝台特急)の元祖として東京-博多を走り始めて以来、日本の夜行はざっと 66年 の歴史があります。1970年代の最盛期には30本以上 が日本中の夜を駆け抜けていて、当時の旅好きにとっては 「夕方家を出て、朝には九州」 がごく当たり前の感覚だったわけです。
そこから新幹線網の拡大、LCC(格安航空)、夜行バスの台頭が止まらず、北斗星(上野-札幌) が2015年、トワイライトエクスプレス(大阪-札幌) も同じ2015年、カシオペア は2016年に定期運行を終了。気がつけば、定期で走っているのはサンライズ1系統だけ。これ、ニュースであまり大きく報じられないので意外と知られていません。
サンライズ瀬戸・出雲——東京を22時に出る「動くホテル」
1998年デビューの 285系電車寝台。東京を 22:00に出発、途中の岡山で 「瀬戸(高松行)」と「出雲(出雲市行)」が切り離されて それぞれ朝の終点へ向かいます。東京-出雲市の所要時間は約12時間。寝てるあいだに本州を縦断するわけで、「動くホテル」の名は伊達じゃないです。
個室は 6種類 あって、選ぶ楽しみがあります。
- シングル:一人用の標準個室、いちばん人気
- シングルツイン:上下2段のソファ式、2人でも使える
- サンライズツイン:横並びベッドの2人用
- シングルデラックス:広めの個室、洗面台付き(出雲のみ)
- ノビノビ座席:カーペット敷きの開放型、寝台料金不要で 特急券だけで乗れる 裏ワザ枠
“The ‘Nobi-nobi seats’ are basically a carpeted bunk where you bring your own pillow — you only pay the limited express fare, not the sleeper fee. Backpackers love them.”
(「ノビノビ座席」はカーペット敷きの開放型寝台で、自前の枕を持ち込みます。特急料金だけで寝台料金がいらないので、バックパッカーに人気です。)
なぜ消えた、なぜサンライズだけ残った
夜行が消えた理由はわりとシンプルで、新幹線が速くなりすぎたから。東京-博多は新幹線で 5時間、東京-札幌でも飛行機 1時間半。「夜の12時間」を選ぶ理由が現実的になくなったんですよね。
では なぜサンライズだけ生き残っているのか。これは 「東京-山陰」という新幹線が直行しない区間を結んでいるから と言われています。出雲方面は新幹線で行きにくく、飛行機より夜の移動が体力的にラク——という 絶妙なニッチ に収まったわけです。最近はむしろ 体験そのもの を目当てに乗る外国人観光客が増え、皮肉にも 「最後の1本」だからこそ予約が取れない 状態です。




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